【追記】
僕がサブ3に至るまでの全練習の詳細を別記事にまとめました。
サブ3は言うほど難しくないと思います!本当に!
僕はサブ3ランナーです(今はもう走れないので”元”ですけど)。陸上経験無し、元バンドマン、28歳までヘビースモーカー。31歳から習慣的に走り始めて2年半でサブ3を達成しました。本格的に走り始めてからだと1年半です。何も分からず適当に走っていたので、もっと効率的に練習すればもっと早くサブ3を達成出来ていたと思います。だからサブ3を目指す人には回り道をしてほしくない、と思ってこの記事を書きました。
体格が細いという点しか優れたところがなかった僕のような人間でも、以下に記す練習方法でサブ3は達成できます。
僕はコーチもいなくて、一人でメニューを考えて練習してきました。一人だとフォームについて指摘してくれる人もいません。それでも効率的なフォームを習得できる方法も記します。
僕のスペック
- 小中高と校内持久走大会などで目立った成績はあげてません。どちらかといえば短距離のほうが得意でした。つまり、高い素質はないだろうと考えられますよね。
- 陸上経験はおろか、サッカーやバスケなど駆けまわるスポーツの経験はありません。
- 高校から大学まではバンドやっていて、スポーツとか疲れることは大嫌いでした。
- 28歳までヘビースモーカーでした。
- 24~25歳くらいの時に、総合格闘技の道場で主に寝技をやってました。同階級の中ではパワー系でスタミナに乏しいタイプでした。ちなみに寝技でついた筋肉は長距離走には邪魔です。
- サブスリーを達成した時は165cm、52kgの細くて背の低い体型。総合格闘技の道場で寝技をやっている頃は59kg。走り始めてから長距離走に不要な筋肉がみるみる落ちていきました。
- 努力(頑張ること)は苦手です。
- 走ることは好きです(好きという感情をキープするため、練習したくない日はしないなどの工夫はしました)。
走り始める前から僕に備わっていたのは「太っていなかったこと」の一点のみです。太ってる人はまず体重を落とすことが大事です。体重が重いうちからハードな練習はせず、走って気持ちいいと思える範囲で継続していると、自然に痩せて足もできていき、ハードな練習ができるようになるはずです。
僕の知り合いのサブ3ランナーには骨太筋肉質タイプもいます。だから、脂肪を落とすということは重要ですが、体型がゴツくてもサブ3レベルなら充分達成可能です。ちなみにその人は41歳走歴5年でサブ3を達成しました。その人とは「サブ3に特別な才能は必要ない。工夫と練習しだいで達成可能」という意見で一致しています。少なくとも30代だったら年齢が問題になることはないと断言してもいいと思っています。
情報過多で頭でっかちになってしまいます
ネットで検索するといろんな情報が出てきて、フォームや練習法を試行錯誤してしまいますよね。でもサブ3程度だったらシンプルな練習方法で良いと思います。インターバル走などのエリートがやる練習は逆効果と言えるくらいだと思います。
時間も体力も有限です。だから効果の高い練習法だけをすればいいと思います。「やること」を決めると同時に「やらないこと」も決めないといけません。
やること
- 30km(レース前の1ヶ月は35km)のペース走
- 15km程度のJOG
- 10kmのハイペース走(タイムトライアル)
- ピッチ200(1分間で200歩)で走る練習
- 1kmごろのラップタイムを均一に走る練習
やらないこと
- やることに書いた以外のこと
- 例えばインターバル走
- 例えばビルドアップ走
- 例えば疲労回復JOG(積極的休養)
効率的(ランニングエコノミーが高い)フォームの習得法
ここが僕が独自に考えた練習方法です。
陸上経験がなく、コーチもいない僕のような人が苦労するのは、効率的なフォームの習得です。このフォームが全ての練習の土台になると思います。いくら距離を踏んだからといって、悪いフォームだとそのフォームが固まってしまうだけです。月間走行距離や練習方法にこだわるより、まず騙されたと思ってこの練習方法を試してみてほしいです。ぜひぜひ。
やることは一つ。上の「やること」にも書いた
- ピッチ200(1分間で200歩)で走る練習
です。これをJOGあたりから挑戦し、30kmペース走や10kmハイペース走にも適用していきます。
僕はランニングウォッチのピッチ音機能を使いました。30秒ほどピッチ音が鳴ってくれる機能で、それに合わせて足を動かします。30秒経つと音が消えますが、ピッチはキープしてそれを体に覚え込ませます。ピッチが落ちてきたかも、と思ったらまたピッチ音を鳴らして確かめる。それを繰り返します。
どんなに歩幅(ストライド)が狭くなっても構いません。とにかくピッチを刻み続けます。最初はキツいかもしれませんが、そのうち出来るようになります。ピッチ180くらいから始めてもいいかもしれません。
ピッチを刻むと同時に、良いフォームを心がけます。人それぞれの体格に合ったフォームはあると思いますが、一応の目安となる良いフォームの条件は以下のようになると思います。
- 頭は正面を見ている。
- 上半身が左右に揺れてない。
- 背中が丸まったり、反ったりしていない。
- かかとの前部(土踏まず側)で着地するイメージ。
- 足が自分の顔より前に出ていない(顎の下あたりで着地するイメージ)。
なぜこの練習で良いフォームを手に入れられるのか、というと「効率的な動きじゃないと素早く繰り返せない」からです。逆を言うと「素早く繰り返そうとすると、効率的にならざるを得ない」ということです。
専門家でも「絶対に正しい練習方法」と断言できる方法はないでしょうから、この練習方法も人によって合う合わないがあると思いますが、僕には凄い効果がありました。
ただしピッチ200はあくまで練習で、レース当日は180〜190くらいが効率的なようです。
ラップタイムを均一に走る練習
この練習は必須ではないんですが、イーブンペース信者の僕はペース感覚というものを重視してました。今はGPSウォッチなどで常にペースが把握できるのかもしれませんね。僕は使ったことがないのでわからないんですが、できるならそういった文明の利器を使っちゃうことにして、この項は飛ばしてください。
ペース感覚を養う練習をするためには、まず普段の練習コースが1kmを把握できるようになっている必要があります。僕は河川敷を走っていたんですが、自転車のサイクルメーターで距離を測り、1kmごとに目印を覚えておくようにしました。ランニングコースに設定されているようなところだと表示をしてくれているところもありますよね。
そのうえでランニングウォッチのラップ機能などで1kmごとのラップタイムをリアルタイム把握します。リアルタイムというところがミソで、走りながら目標ラップタイムに合うように速度を修正します。
これを毎回の練習でずっとやっていると、±2秒くらいの差で収まるようになってきます。
30kmペース走と10kmタイムトライアルについて
走り始めた当初、僕は何も分かってなかったので、練習では常に限界まで追い込んでいました。これが回り道をしたと思う点です。限界まで追い込んだことで「練習したぞ」という満足度は高いですが、能力を伸ばすためには「回復まで視野に入れた適度な追い込み度」というのがあるように思います。
能力が伸びるのは「追い込んだ時」ではなく「回復する時」です。特に誰かに練習を強制されるわけじゃないアマチュアランナーは、自分が楽しい、気持ちいいと思える範囲で怪我をせずモチベーションを維持しつつどれだけ練習と回復(休息)を効率的に反復させられるかが重要だと思っています。
具体的な練習メニューは以下に書いていきます。
普段の練習
※フルマラソンを3:03:00で走る能力がある人を基準としています。フルのタイムが+3.5分ごとにラップタイムを+5秒してください(3:06:30の能力の人はロングペース走は4’45”/km)。
- ハイペース走(4’00”/kmで10km、または10kmタイムトライアル)。
- ロングペース走(4’40”/kmで30km)レースの一ヶ月前には距離を35kmに増やしてください。
- 10〜15kmのJOG(気持ちいい速度で)。
これが「練習と回復(休息)を効率的に反復させられるペース」です。
ハイペース走とロングペース走がポイントとなる練習なので、曜日を決めてなるべく毎週やります。それ以外は週間走行距離が60km程度になるように、適当に走ってもかまいません。疲れていたら距離を短め、速度を遅めにするなど、体調と相談しながら故障をしないようにします。
追い込み期(レース12週前〜3週前)の練習
サブ3を狙うレースの12週前から以下を週に一度ずつ、週4日走ります。JOGはサボってもかまいませんが、ロングペース走とハイペース走は故障、体調不良がないなら必ず走ります。
- 10kmのハイペース走
- 30km〜35kmのロングペース走
- 15〜20kmくらいのJOG
- 5kmのJOG
レース2週前に最後のロングペース走をして、レース1週前に最後のハイペース走をして、あとは疲労を抜きます。
レースの直近に以下の両方が達成できていれば、サブ3の能力は備わっていると思って間違いありません。あとは調整とレース当日にペースを守れるかにかかっています。
- 10kmタイムトライアルを38分切り
- 35kmペース走を4’35”/kmのイーブンである程度余裕をもって押し通せる
レース直前の調整法
勝負レース前の2週間は走行距離を極端に減らして、抜きすぎなくらい抜いて疲労回復させるのがいいと思います。
ちょっと練習量を落としたくらいだと、自覚しない体の芯の疲れが抜けきらないようです。
直前週は週間25km、その前の週は35kmくらいの走行距離でいいと思います。
練習量を落とすと力も落ちる気がするかもしれませんが、案外落ちないというのが実感です。
レース当日の戦略
- 効率が最もいいのはイーブンペースです。最後までイーブンで押し切れる適切なペースを設定するには、自分の今の能力を知る必要があります。
- 10kmのタイムトライアルの結果タイムに4.7を掛けたタイムがフルのタイムの目安になります。39分なら183分(3:03:00)です。
- 目安のタイムを42.195kmで割って、1kmごとのラップタイムを算出し、レース当日はそれを粛々と刻むのがベストな戦略です。
- 序盤は少しだけ抑え気味に行くほうが良い結果になることが多いと思います。時間の貯金をしようと考えるより、スタミナの貯金をするという考えです。残り5km地点で余裕を感じるようならペースアップしてタイムを狙いましょう。余談ですが、サブ3を狙うランナーと話していると、サブ3を達成できる力がありながら、欲を出して2時間55分とかを狙ってガス欠を起こして3時間5分くらいになる人が多いと感じます。最後の5kmが4’45”/kmより遅くなる人は、途中のペースが早すぎます。
- 好みが分かれそうですが、僕はスタート前のウォームアップでは一切走りませんでした。ウォームアップをしてみたこともありますが、スタミナを消費すると感じました。
- ピッチは180〜190が効率がいいようです。
僕がサブ3を達成するまでの全走行距離履歴
習慣的に走り始めてからの走行距離記録が残っていたので転記します。
これを見ると「こんなもんでいいんだ」と思ってもらえるはずです。
振り返ると本格的に走り始めたのは、サブスリー1年半前の2009/10からといってもよさそうです。
サブスリーの条件として月間300kmを3年という俗説をネット上で見かけますが、そんなに必要ないことがわかります。300kmを超えた月がありますが、思い返せば練習のしすぎだったと思います。
平均250kmで充分だと自信を持って言えます。
1人で知識の無いところから始めたので遠回りしてますが、工夫して効率的に練習すれば月平均220kmくらいでもいけると思います。
- 2007/12~2008/09まで:たまに気が向いたら走る程度。習慣的ではなく気が向いたら適当に走る程度。平均すると月間40kmくらい。ちなみに走り始めの頃に、足の甲を疲労骨折している(貧弱)。
- 2008/10 :231km 初のレースである広島ベイマラソンにエントリーしたので、かなり頑張って練習した。急に走行距離を伸ばしたので足が痛かった。
- 2008/11 : 102km 中旬にあった広島ベイマラソンの距離を含む。当時はフルマラソン完走が目標だったので、大会が終わると全く走らなくなる。広島ベイマラソンの記録は3時間43分(トイレに二回も行ってしまった)。
- 2008/12 : 0km 寒いので全く走ってない。
- 2009/01 : 0km 寒いので全く走ってない。
- 2009/02 : 0km 寒いので全く走ってない。
- 2009/03 : 0km 寒いので全く走ってない。
- 2009/04 : 90km 暖かくなったので走ってみた。
- 2009/05 : 147km 同上。
- 2009/06 : 70km 暑くなったので月の後半は全く走らず。
- 2009/07 : 0km 暑いので全く走ってない。
- 2009/08 : 0km 暑いので全く走ってない。
- 2009/09 : 10km 月末にまた広島ベイにエントリーしたので練習開始。
- 2009/10 : 278km 大会にエントリーしたので練習する。この頃にピッチ200の練習を思いついて実践する。
- 2009/11 : 206km 防府読売マラソンにもエントリーしたので練習。広島ベイマラソンの記録は記録3時間11分。初マラソンから32分短縮。その後ネットで知ったインターバル走を試す。
- 2009/12 : 136km サブスリーを狙った防府読売マラソンの記録は3時間09分。30km以降完全に潰れて一生忘れないだろうというくらい悔しかった。サブスリーへの執念はこの日から始まった。でもまあ、今考えるとサブスリーできるわけないような練習量。
- 2010/01 : 219km 悔しくて練習。
- 2010/02 : 238km
- 2010/03 : 288km
- 2010/04 : 235km
- 2010/05 : 263km このうち140kmが萩往還マラニック140。
- 2010/06 : 237km
- 2010/07 : 207km
- 2010/08 : 92km 暑いのは苦手で距離が落ちた。
- 2010/09 : 214km この頃からインターバル走の効果が薄い上に疲労がたまる感覚がありやめる。
- 2010/10 : 333km 初の月間300km超え。
- 2010/11 : 331km 300km超え。これで疲れが溜まってしまい、足も痛くなった。
- 2010/12 : 168km 防府読売マラソンでは風邪で発熱。無理やり走ってレース後体調を崩す。その後3週間ほとんど走れず。前月までの走り過ぎも風邪の遠因だと思う。記録は3時間04分。発熱がなければここでサブ3出来ていたと思う。
- 2011/01 : 197km 防府読売マラソン後の体調不良で思うように走れず。
- 2011/02 : 242km
- 2011/03 : 75km 3/19までの距離。3/20の鳥取マラソンでサブ3達成。記録2時間57分。
その後福岡国際マラソンに出たくて2時間40分切りを目指しますが、父親が白血病になって闘病の末に死んだり、勤めていた会社が倒産して起業の準備をしたりで練習どころではなくなって、走る習慣もなくなってしまいました。
効率的な練習法が分かってきた矢先だったので、走り続けられればもうちょっと記録が伸びただろうにと少し残念に思っています。
最後にもう一度伝えたいことを書きます!
- サブ3にインターバル走などの凝った練習は必要ありません。インターバル走などの練習は故障をしやすいうえに効果的なペース設定が難しく、コーチや練習仲間がいる部活、実業団向けだと思います。凝った練習(インターバル、坂道、ビルドアップなど)を取り入れたくなってしまうかもしれませんが、アマチュアランナーにはペース走の反復が一番効果があると思います。ただしたまにやるLSDで起伏のあるコースを選ぶのは効果的だと思います。
- サブ3は月間走行距離250km程度で達成できます。疲労回復JOGや過剰なLSDをすればすぐに300kmを越えますが、そういったものは不要です。
- ターサーレベルのシューズは2時間30分以内で走るエリートランナー向けです。サブ3を狙うレベルならもう1ランク下のシューズがベストです。体重が重い(60kg以上)ならなおさらです。
- 効率的なフォームを探し、身につける工夫をしましょう。
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